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7つの要望項目

1 動物の愛護・福祉に配慮した施設

 問題解決のために、動物管理業務の一元化を

北海道の動物に関する業務は、動物愛護管理業務を担当する振興局と犬猫の引取り、保管、返還、譲渡・処分を行う保健所に二分化されています。これはこの体制が敷かれた当初(2001年度)に“動物愛護管理センターなどの動物保護収容施設が整備されるまでの暫定業務”と決められていたものが、業務の一元化が果たされないまま現在に至ったものです。北海道は保健所の犬猫の殺処分率も低く、いっけん動物愛護が進んでいる地域のようにみえますが、実際は数多くの複雑な問題を抱えています。

・道北や道東にみられる野犬問題
道北や道東地域は、古い記録でも昭和30年代以前から野犬が多く常態化しています。市町村では、人や地域産業への被害も懸念されることから、「畜犬管理及び野犬掃討条例」による駆除も続けられてきました。元はと言えば、放置された飼い犬や棄てられた犬のなれの果て、野犬同士や野犬と飼い犬の交配で生まれた犬が野犬となったことが原因で、適正な管理を怠った飼い主に責任があります。保健所では、子犬は譲渡可能であることから市町村から引取を行っていますが、成犬の譲渡は困難な状況です。また、一部の市町村ではできるだけ殺処分しないよう自主的に努力していますが、救っても次々と子犬が産まれる負の連鎖が続き、先の見えない現状に疲弊しています。こうした問題を根本的に解決していくためには市町村と連携するシステムを作り、地域社会から野犬を生み出さない方法を考える必要があります。

・愛護団体に支えられた現状
道内各地の保健所では新しい飼い主が決まらない犬猫たちの長期収容が難しく、一定期間を過ぎた時点で愛護団体へ相談・譲渡というケースが多くなっています。愛護団体の協力によって北海道の殺処分率の低さは実現していますが、愛護団体は収容数・人手ともに限界でありながらも命をつなげるために重い負担を抱えています。

・保健所の収容数をはるかに超える「飼い主さがしノート」の掲載
2018年から北海道が実施している「飼い主さがしノート」には、飼い主の元で譲渡先の見つからないペットの情報が長期に渡って掲載されており、全道の保健所収容数よりも多い状況です。終生飼育は飼い主の義務ですが、多頭飼育によるネグレクトや繁殖の繰り返し、外で暮らす保護猫等、一刻も早く新しい飼い主に繋いでいく必要に迫られています。

・2019年改正「動物愛護管理法」に未対応
北海道には、2019年に改正された「動物愛護管理法」の新たな数値規制※に対応した、収容動物の長期収容対応と譲渡促進、動物ふれあい事業、動物愛護管理業務を推進するための基盤整備された施設がなく、これらは2025年までに必要な措置を講じることとされています。また、保健所は、昭和40年代に建設されたものが複数あり老朽化が激しく、犬猫を分けて収容できない施設も多く、長期収容には適していません。こうした数々の問題に根本から取り組んでいくためにも、分割されている業務を一元化する必要があります。迷子の動物は振興局所在地の保健所に集約させ、迷子期限終了後や飼い主放棄による動物はすべて動物愛護センターに収容し、適正管理を行って譲渡を推進していくことが最善と考えます。このように、従来の収容方法を変更していくことは、動物福祉の充実・コストパフォーマンスの両面において重要と考えます。
※数値規制…2019年に改正した「動物愛護管理法」の省令に基づく。ケージの広さや繁殖年齢、従業員一人当たりの飼育頭数の上限などが定められている
 

2 大規模災害時等における被災動物の対応ができる施設

 災害時や新興感染症発生時に、円滑な被災動物対応が可能な拠点を

 東日本大震災の経験から、都道府県が定める「動物愛護管理推進計画」には、災害時の動物の適正な飼養及び保管に関する施策を盛り込むこととされています。北海道中がブラックアウトとなった胆振東部地震(2018年)ではペットの安全確保に苦慮し、近隣施設の協力によって被災動物への健診等が行われました。北海道の場合、広域で災害が生じたときには全道を統括して対策を講じることが不可欠で、近年では新型コロナウィルス感染者のペットの対応においても困難に直面しています。
災害時におけるペット相談、周囲への迷惑防止、新興感染症が発生した時のペットの対応などが可能な動物愛護センターが道央・道北・道東・道南などの各拠点に必要です。

3 譲渡前不妊手術、病気・ケガの治療ができる施設

 動物福祉のために医療設備の完備、獣医系大学や動物病院との連携を

 殺処分や行き場を失う命を減らしていくには不妊手術が不可欠です。「動物愛護管理法」では不妊手術は飼い主の義務とされていますが、譲渡された動物が不妊手術を行わず繁殖を繰り返し、飼養しきれなくなるという負の連鎖も起きています。行き場のない動物を一頭でも減らすには、全国でもすで行われている早期避妊去勢手術を含めた譲渡前不妊手術が不可欠です。シェルターメディスンの考えに基づき収容される動物たちへの日常的な治療や、混合ワクチン接種などにも対応できる医療設備、獣医系大学や動物病院、ボランティア等との連携など動物福祉にかなった施設が必要です。

4 多頭飼育崩壊時におけるペットの収容ができる施設

 収容数の増加に対応できる数値基準をみたした施設を

 近年、多頭飼育崩壊による引取事例が増加しています。不適正な多頭飼育による騒音や悪臭などについて近隣住人からは苦情・相談が寄せられますが、保健所の収容数には限界があり愛護団体の協力なしでの対応は難しいのが現状です。ですが、愛護団体が常に協力できる保証はありません。北海道独自でもこうしたケースに対応できる、「動物愛護管理法」の数値基準を満たした施設が必要です。また、こうした問題は未然に防ぐことが最も重要で、そのためには飼い主指導や動物福祉の普及啓発が必要ですが、現在の北海道には“動物愛護センター”としての機能がないため対策が後手に回っています。

 

5 飼い主のいない猫対策ができる施設

 飼い主のいない猫は不妊手術で一代限りの命を全う

 各振興局や保健所に寄せられる苦情の多くは外猫や飼い主のいない猫に関するものです。飼い主のいない猫の多くは、可能な限り繁殖を繰り返し、最終的に冬を越すことが出来ず命を落としています。動物がより良く人間社会で共生するためには、全国的にはすでに取り組みが行われている“地域猫活動”※が対策の要です。この“地域猫活動”を効果的に推進するためには、一般の動物病院同様の診療設備を持ち合わせた、好立地の動物愛護センターが必要です。またこれに併せて、猫の室内飼育を飼い主の義務に定める等、現在の「北海道動物の愛護及び管理に関する条例」の見直しも必須と考えます。
※地域猫活動とは・・・飼い主のいない猫に不妊手術を施し、地域でお世話をして一代限りの命を全うさせる方法です(同時に、譲渡できる可能性を模索することも大切です。)

 

6 ペットを介した道民交流の場となる施設

 子どもたちへの情操教育、高齢者と動物のふれあいの場に

 核家族化が進み、子どもたちが命の大切さを体験する機会が少なくなっています。未来を担う子どもたちが収容動物たちの現状を知ることは、命を大切にする心や責任感など人としてあるべき姿を知る重要な道徳教育の機会となります。また今後さらに老齢人口が増えることからも、動物好きの高齢者が動物とふれあえる場を作ることで、引きこもりや孤立の防止にも役立てられます。知識習得者による動物介在療法や動物介在教育など、適性のあるモデル犬猫を介した心のリハビリやコミュニケーションを図る場としても、様々な人々が気軽に立ち寄り交流できる多目的室をもった施設が必要です。

 

7 連携・協働、ボランティア育成、適正飼育の普及啓発の拠点となる施設

 

 時代に合った施策づくりの拠点として

 ペットに対する理解不足や不適正飼育による迷惑行為、動物への暴力やネグレクト型虐待、公衆衛生、動物取扱業等に関する問題は後を絶ちません。人々が安心して暮らすには、時代に応じた多様な施策は欠かせず、施策を具現化していくには行政と獣医師会、獣医系大学、動物愛護団体及び動物愛護推進員等の道民ボランティアなどの連携・協働は重要です。また動物の適正飼育指導や愛護・福祉の啓発、動物取扱業者の管理などの拠点となる施設が必要です。

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