数多くの問題を抱える北海道の動物愛護の現状
全国47都道府県のうち唯一「動物愛護センター」が設置されていないのが、私たちの住む北海道です。
環境省の発表※1によれば北海道は保健所の犬猫の殺処分率も低く、いっけん動物愛護が進んでいる地域のようにみえますが、“殺処分が少ない=譲渡率が高い“という現状は愛護団体の協力が大きく影響しており、実際は数多くの複雑な問題を抱えています。自治体で殺処分されている野犬など独自の地域性が関わる問題のほか、厳しい冬の寒さで命を落としている飼い主のいない猫など、救いたくても救いきれていない命もあります。また動物を収容している保健所は昭和40年代に建設されたものが複数あり老朽化が激しく、動物福祉の観点からも長期収容には適さないうえ、殺処分する場所というイメージが強いことから道民が気軽に立ち寄る場所とはなっていません。北海道には2019年に改正された「動物愛護管理法」の新たな数値基準※2に対応した収容施設や長期収容、譲渡促進、動物ふれあい事業、動物愛護管理業務を推進するための基盤整備された施設がないのです。また、収容犬猫の譲渡前の不妊手術は未実施で、病気怪我等の治療においても一部の動物病院の善意に支えられているのが現状です。
なぜこうした問題がいつもまでも解決されないのでしょうか?
北海道の動物に関する業務は、動物愛護管理業務を担当する振興局と犬猫の引取り、保管、返還、譲渡・処分を行う保健所に二分化されています。これはこの体制が敷かれた当初(2001年度)に“動物愛護管理センターなどの動物保護収容施設が整備されるまでの暫定業務”と決められていたものが、業務の一元化が果たされないまま現在に至ったものです。こうした二分化体制が問題解決の大きな妨げとなっていると、動物愛護団体をはじめ関係者は強く感じています。
「北海道動物愛護センター」をつくり、振興局と保健所それぞれで行われている動物に関する業務を本来の形(一元化)にすることによって、効率的で迅速かつ円滑な業務が可能となり、問題解決への道筋がつくられます。こうした理由から、私たちは「北海道動物愛護センター」の建設を早期に実現することを要望します。
※1
環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況(都道府県・指定都市・中核市)」【令和2年度】
※2
数値基準…適正な飼養管理の基準の具体化について 飼養管理基準として定める事項(環境省)
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